「…だから冬斗は、本当の生き神ではない、と」


「いわゆる半神。下級神とも言うか。

あいつはまだ人間と神のハーフと考えてもらって構わない。


つまり本物の神でないあいつが、冬をスサノオから取り戻すのは難しい」



「…本物の神でないと、冬を取り戻せないのですか」



ツクヨミ様は静かに溜息をつき、私をしっかりと見据えた。



「お前も春も夏も、季節の力を前に本当の力が生まれたと言って過言ではない。

奪った奴らが持つ季節の力は特別封印されているわけではないからな、お前達の中身と共鳴したようなものだ。

しかしあいつはどうだ。本物の神の力も持っておらず、ただ持ってるのは黒姫から与えられた特別な力を持つ刀のみ。


…姉さんは全てを知っていながら、あいつの負担になってはいけないと、あいつが冬夜の人格を捧げないで季節を取り戻す方法を模索している。そんな方法、あるはずないのにな」



私は改めて体を向き直し、ツクヨミ様に改めて尋ねる。




「スサノオから冬を取り戻すには、冬斗が本物の神に…つまり代償を天に与えなきゃいけない、ということでしょうか」


「ああ。

もう言ってしまうが、お前を利用させてもらった。お前の記憶を取り戻すことで、お前はこのことをあの二人に言わざるを得ない状況になった。

…俺は姉さんのように優しくない。スサノオ、あいつは強いぞ

神の力こそ姉に及ばないが、冬の力を持っているあいつは今までの敵とは比べ物にはならないだろう」