「じゃあ俺ソウちゃんにするわ」

「いいねいいね!」

「「「ソウちゃーん」」」

「っ、」


からかいが急速に盛り上がっていく中で、さまざまな呼び名が飛び交った。


そうちゃんを取り囲み、はやし立てる彼らの輪を呆然と見つめる。


待ってよ。それは嫌だ。


そうちゃんって呼ぶのはわたしだけの、


——ああ、何を。何を馬鹿なことを。


冷えた指先を握り込んで、唇をきつく噛みしめる。


……確かにわたしは特別扱いされたいよ。

そうちゃんの特別でいたいよ。


だけど、どんな呼び方をするかなんて自由だ。


そうちゃんって呼んでいたのはわたしだけだったけど、それが今終わるのをつらく思うのは筋違いだろう。


……ああ、でも。

叶うことならば。


そうちゃんって呼ぶのは、わたしだけがよかった。


幼なじみの特別な名前は、わたしだけのものがよかった。


わたしがダウンロードしたスタンプを速攻でダウンロードしてくることとか、晩ご飯がときどきかぶることとか、

「そうちゃん」に付随する幼なじみの証になりうるものは、わたしだけが知っていたかった。