それぞれでお会計を済ませて、それぞれでお店のポイントカードを作った。


絶対また二人で来よう、という意味を込めて、作った。


管理が面倒になるんだろうけど、普段はあまりポイントカードを作らないらしいそうちゃんにも頼み込んで作ってもらった。


約束しただけじゃ不安ってことではないけど、約束が形になるのは嬉しい。


二人とも三つずつスタンプが押される。


同じ日付のスタンプなのは、同じ日に同じお店で同じメニューを食べたから、それだけなんだけど。


でも、でも、署名欄に名前を書くそうちゃんの後ろ姿に心が浮いた。


同じスタンプが同じ数並んだ、全く同じの、名前だけが違うもの。

お互いの名前入りの、お揃いのもの。


そんな素敵なものなんて、ポイントカードでさえ、今はもう、わたしたちの間には全然なかったから。


ショッピングモールの最上階に上って、最上階から順に冷やかしながら、ゆっくりゆっくり降りてくる。


地下ニ階まで一周して一階に戻り、お店を出ると、もうとっくに夕焼け空だった。


名残惜しくてゆっくり歩くわたしの隣で、歩幅を合わせてくれているそうちゃんもゆっくり歩く。


いつもと変わらず無言で、いつもより道のりが長くて、いつもより遅い時間の帰り道を、二人で並んで歩いた。


「……佐藤さん」


玄関を開けたわたしを、そうちゃんがそっと呼ぶ。


「うん?」


振り返った先に、伏し目がちの、オレンジの顔。