兄妹間でそこまでの愛情が生まれるなんて、あたしには信じられない事だった。


あたしには颯と同い年の虹色(ニジ)という変わった名前の兄がいる。


だけど兄は別の学校に通っているし、部屋でパソコンばかりいじっているため同じ家にいてもあまり会話をしない関係になっていた。


あたしは自分の部屋に戻り、八つ当たりをするようにベッドの上のクッションを壁に投げた。


クッションはボスッと音を立てて床に落ち、縫い目から綿が顔を出した。


「颯のバカ」


そう呟き、窓際にある本棚まで歩く。


本棚の下は引き出しになっていて、そこをあけて大きなアルバムを取り出した。


アルバムを開けると、そこには颯の笑顔の写真がある。


付き合う前に隠し撮りをした写真はアルバム3冊分。


付き合い始めてから撮った写真は、アルバム10冊分になる。


さすがに引きだしには入れられないから、クローゼットの中にしまってある。


この引き出しに入れてあるのは、お気に入りを集めたアルバム1つだけだ。


これだけなら颯に見られたって少し呆れられるくらいで済むから。