「でも……このままなわけない。きっと叶さんが助けに来てくれる」


「来ないよ。あいつも、わかってくれたから」


わかってくれた?


わかってくれたって一体なにを!?


あたしは勢いよく振り向き、お兄ちゃんを睨みつけた。


それとほぼ同時に、真正面から抱きしめられる。


「俺とお前を祝福してくれるって。俺の事が好きだから、応援するって」


嬉しそうにそう言うお兄ちゃん。


全身の血が引いて行くのがわかる。


祝福?


応援?


頭の中はパニックだ。


「なぁ純白。ここには水はあっても食料はない。どうせ数カ月で死んでしまうだろう」


お兄ちゃんは何を言っているの?


「それまでに、俺はお前に今までの愛情をぶつけたい……」


あたしを抱きしめている手に力が籠る。


「い……いやぁぁぁぁ!!」


あたしの叫び声は誰にも届くことなく、愛情という刃があたしを貫いたのだった……。