「お前さ、前に監視カメラ買っただろ」


そう言われ、あたしはお兄ちゃんの顔を久しぶりに真正面から見た。


気がつかなかったけれど、少し痩せたみたいで前よりもカッコよくなっている。


「それがなによ」


あたしは強く口調でそう言った。


「何って……そういうの、普通じゃないだろ」


「普通ってなに? お兄ちゃんは四六時中パソコンの前にいるじゃん。それってあたしからしたら普通じゃないんだけど」


イライラしながらそう言う。


お兄ちゃんがやっている事と、あたしがやっている事は全然違う。


そんなの、言われなくてもわかっている。


だけど、前々から自分よりも劣っていると思っていたお兄ちゃんに指摘されることが、許せないのだ。


そんな態度のあたしにお兄ちゃんは諦めたようにあたしの手を離した。


そしてあたしは無言のまま部屋に入ったのだった。