再び先頭に戻った敬太は、レジ袋を肩に掛けるようにして左手で持ち、右手にクーラーボックスの片方の持ち手を持つ。
負担している荷物の重量が誰より重くなった敬太が歩き出すと、男子たちがこぞって冷やかし始めた。
「敬太カッケ〜、俺、惚れた」
「俺は恥ずかしくて、できないわ」
「敬太って優しいよな。遠野には、特に!」
『遠野には特に』その言葉に、女子たちは「キャア!」と歓声を上げ、男子たちは一斉に笑い出す。
敬太はいつも、誰に対しても優しい。
決して私を特別扱いしてくれているわけじゃないのは、みんなも分かっていると思う。
それでも、こういう展開になるとみんな楽しくなって、調子に乗ってしまうみたい。
はしゃいだ声が飛び交う中で、梨沙までもが私をからかってきた。
「霞、良かったね〜。
このキャンプで、想いが叶いそう!」
「り、梨沙!」
私が敬太を好きなことを、梨沙は知っている。
以前の仲良し女子4人組だった時は、何度も相談していたし、琴美も絵留ももちろん知っている。


