ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜




「ナニカは絶対にいる。
それを信じない絵留と琴美とは、もう一緒にやっていけない。

霞、ごめんね。本当に後悔してるから、私ともう一度友達になって?
お弁当も、2人で食べよう ?」



「う、うん。
私は別にいいんだけど……」



元の仲良し4人組は、絵留と琴美、私と梨沙の2つに分かれることに決まった。


梨沙だけでも取り戻せたのは嬉しいし、ひとりぼっちから抜け出せてホッとしている。


でも……思いっきり振り回されてるよね、私って。


いや、違うか。

私が振り回してるのか。


だって、ナニカを生んだのは私。

こんなこと考えたくないけど、ズキズキ痛む心の中から、この仮定は消えてくれないの……。



久しぶりに梨沙と向かい合ってお弁当を食べていた。

絵留と琴美も離れた位置で、2人で食べている。


教室内にはほぼ全員のクラスメイトがいた。


教室内を見回して、あれ?と首を傾げる。

なんで今日はみんな教室にいるの?


いつも昼休みの後半になると、男子はバスケットボールを持って体育館に出かけて行く。


他クラスに彼氏彼女がいる人は、昼休みの初めから教室にいなかったりするのに。