ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜




ああ……やっぱりね。

また元の仲良し4人組に戻れるんじゃないかと、一瞬でも期待してしまった私がバカだった。


梨沙が何のつもりで誘ってきたのか知らないけど、絵留と琴美はまだ私のことを嫌っているんじゃないか。


ムッとして、梨沙から声を掛けてきたんだと反論しようとしたら、私が言う前に、梨沙が絵留の手を振り払って声を荒げた。



「私、後悔してるの!

霞のこと信じなくてごめん。嘘つきだと思って本当にごめん。

ナニカはいた。
飯塚先輩が殺されて、ナニカがいるんだってやっと気づいた。

私が間違ってたの……霞、ごめんね。

霞の言う通りに、あの時、私が必死に先輩たちを止めていたなら、こんなことにはならなかったのに……」



話している内に梨沙の声が震えてきて、最後は涙声になっていた。


ここのところ梨沙が落ち込んでいた理由は、バレー部が活動停止になっちゃったことだと思っていたけど、そうじゃないみたい。


梨沙は自分を責めていた。

ナニカが存在するってことを、初めから信じればよかった……。

そうすれば敬太をシメようとする先輩たちを止めようとしただろうし、結果として飯塚先輩は死なずに済んだかもしれないって……。


「先輩が殺されたのは、私のせいかも……」


梨沙はそう言って、後悔の涙を流していた。