ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜




梨沙はぎこちない笑みを浮かべて、戸惑いがちに私に言った。



「霞、あのね、一緒に……お弁当食べない?」


「え……? どうして?」



ずっと、元の仲良し4人組に戻りたかった私。

一緒に食べようと言ってくれたことはすごく嬉しいはずなのに、驚きすぎて疑問で返してしまった。


どうして誘ってくれるの?

私は友達じゃないんでしょ?

それは梨沙だけの意見?

絵留と琴美は何て言ってるの?



絵留と琴美の方を見た。

私は廊下から二列目の席で、絵留たちは窓側から二列目の席でお弁当を広げている。


私が見るのとほぼ同時に、絵留たちもこっちを見た。


それから驚いた顔して椅子を鳴らして立ち上がり、二人で慌てて私のもとに駆け寄った。



「なんで梨沙と話してるのよ!」

琴美が怒ったような顔をして、私に詰め寄る。



「梨沙、あっちいこ?
霞に話しかけられても、相手にしちゃダメだよ」


絵留は私に文句を言うのも嫌みたいで、梨沙にだけ声をかけて腕を引っ張り、連れて行こうとする。