ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜




昼休みになった。

お昼は今の私にとって辛い時間。

絵留と琴美と梨沙は3人で机をくっつけてお弁当を食べているのに、私はひとり。


この前、敬太が『まだケンカしてんのか?』って気にしてくれて、男子の集団の中に入れてくれたんだけど……その日だけ。


敬太と二人きりのお弁当タイムなら嬉しいけど、男子の集団に女子ひとりは居心地が悪かった。


次の日からは誘ってくれる敬太に『大丈夫だから』と断って、ひとりで食べている。



自分の席でポツンと一人、モソモソとお弁当を広げる私。


ぼーっとしながら何となく教室のドアを見ていたら、トイレかどこかに出かけていた梨沙が戻ってきた。


机3つ分の距離を置いて、目が合ってしまう。


先に逸らしたのは、私。

もう友達じゃないと言われてるから、笑い掛けたり手を振ったりしちゃダメなんだよね……。


逸らした視線を自分の机の上の小さな傷に留めていると、誰かが近づいてきて私の横で立ち止まった。


「梨沙……」