敬太は私の目を真っ直ぐに見て、そう言った。
『頼りにしてる』なんて嬉しいことを言われては、頬が赤くなってしまう。
敬太と私の距離が一歩近づいた気がして嬉しくなったけど、その後の『霞がナニカに一番近い』という箇所にはちょっと引っかかる。
ナニカは私の嘘から生まれたのかもしれないという不確かな考えは、ずっと心の中にある。
人が2人も死んだという責任を感じたくないから、なるべく深く考えないようにしているんだけど、一度生まれた考えを消すことはできない。
ナニカは私が生んだ化け物……。
心に巣食うその考えがあるせいで、敬太に言われた『霞がナニカに一番近い』という言葉を否定できない。
私がナニカを生んだ……。
ナニカに一番近いのは、私……。
と言うことは、
私がナニカに影響を与えたりすることもあるのかな……。
「あ、もしかして……」
ふと思いついたことがあって、そう呟いた。
すかさず反応した敬太に、
「何かわかったのか⁉︎」
と、ワクワクした顔で食いつかれた。


