ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜




警察署で一応ナニカの話をした真斗も、どっちかというと今は私よりの考え。


でも敬太は違った。


一人で何度も警察署に出向いて、最初に自分を取り調べた刑事さんを呼び出し、『またお前か』と言われながらも、ナニカが真犯人だって訴え続けているーー。



朝のホームルーム開始前の教室は、私と敬太を取り巻くように人垣ができている状態。


「もう3年の奴らのことなんか放っとけって」

「あんまり警察にしつこくして、また敬太に疑いの目が向けられたらどうすんだよ?」


クラスメイト達は敬太を心配して、警察通いを止めるように口々に言った。


私もそう思う。


犯人じゃないのに犯人扱いされてる3年生の2人は可哀想だけど、

『そんなに庇うってことは、もしやお前もグルなのか?』と、敬太が警察に疑われるんじゃないかってヒヤヒヤする。


それに、元はと言えば3対1で敬太をシメようとしていた卑怯な行動が原因なんだし……。