私達がヒソヒソ話し始めたことで、桜井先生がまた声を荒げた。
「どこまでふざけた子達なの‼︎
真面目に説教を聞くこともできないなんて……」
再びヒステリックに怒鳴り始めた先生だけど、今度は校内放送によって止められてしまう。
『桜井先生、桜井先生、電話が入っています。
至急職員室までお戻りください。繰り返します……』
黒板上のスピーカーに向けて、先生は綺麗な顔に似合わない舌打ちをする。
「仕方ないわね。あなた達はもう帰りなさい。
お家で、よーく反省すること。わかったわね?」
先生が小走りで教室から出て行くと、全員で同時にホッと息を吐き出し、顔を見合わせて少し笑ってしまった。
よかった……。
取り敢えず、ヒステリーから解放されたよ。
その後はさっき耳にした、ブクブクボコボコという音について話し合う。
「ナニカが出てきそうで、鳥肌たったよ、俺」
「音だけでよかったよなー。
出てこられたら、マジびびる」
「そうか? 俺は見たかった。
おーいナニカ、出てきてくれよー!」
「敬太やめろって。さっき人喰い妖怪かもしれないって話したじゃん。
俺は喰われたくねーよ」
「真斗は弱虫だなー。
ヤバい奴なら俺がぶっ飛ばしてやるから安心しろよ。な、霞。
霞……? どうした、顔色悪いぞ。大丈夫か?」
私は教卓にもたれて、肩で息をしていた。
男子達がナニカについて話すのを聞いていると、なんだか胸が苦しい。
冷や汗が出てくるし、動悸もする。
とうとう立っていられなくなって、その場にしゃがみ込むと、敬太が心配して背中をさすってくれた。
これは、敬太に構ってもらうための演技じゃないよ。
本当に気持ち悪くて、吐き気がする。
どうしちゃったのかな、私。
近い内に悪いことが起こりそうな、そんな予感がして気持ちが悪いの……。


