6段目に止まったまま体を震わせ、粉を払い落とそうとしているように見えた。
白い粉はすぐに水分を吸収して、黒く染まった。
それから、細かく震えていた動きも鈍くなり、やがて完全に動かなくなった。
今度こそ、やったの……?
いや、多分違うよ。
期待してはダメ。机と椅子のバリケードの時みたいにぬか喜びで終わるに決まっている。
喜びそうになった自分の心に言い聞かせ、動かなくなったナニカを固唾を飲んで見下ろしていた。
すると案の定というべきか、固まりかけていた表面に細かい亀裂が入り、パラパラとはがれ落ちた。
その下には黒くドロリとした皮膚が現れ、顔のパーツもすぐに浮き出てくる。
再び動けるようになったナニカは、私たちに向けて階段を上りだした。
ああ……やっぱり、ダメだった……。
がっかりした後は、また焦り始める。
捕まらないように、早くにげないと。
一方敬太は、「ナニカって、すげぇタフだな」とのん気な感想を言って、楽しそうに笑っていた。


