ナニカがドロリとした体でのしかかり、絵留を捕まえた。
ヌメヌメした塊に、飲み込まれていく絵留。
その時に絵留が真斗の腕にしがみついて離そうとしなかったから、そのまま真斗もナニカの体内に取り込まれてしまったらしい。
ふたりを飲み込んだナニカは、そのまま湖の中へと消えて行った……。
梨沙は懐中電灯の一本を持ち、キャンプ場に残っているクラスメイトと、管理事務所に助けを求めに走って行ったそうだ。
「そんな……真斗までが……」
予定していなかった事実に私はショックを受けていた。
それから敬太もこの場にいないことにハッと気づいて、さらに慌てた。
「敬太は⁉︎ まさか、敬太まで……」
悲鳴が上がった後、敬太は私を残して、みんなの所に走って行った。
正義感の強い敬太のことだから、助けようとして巻き込まれたんじゃないかと、嫌な予感に震えてしまう。
でも、琴美は首を横に振って湖の方を指差した。
「敬太は、あそこだよ。
敬太が追いついたのは、ナニカがふたりを飲み込んで湖に沈んだ後だったから……」


