真っ暗な中を、ゆっくりと歩き出す。
みんなの居場所は分かる。
懐中電灯の光の点が遠くに見えているから。
こみ上げてくる笑いを懸命に抑え込み、心配そうな表情を作って、私はみんなに追いついた。
ところがそこには、湖の方に懐中電灯を向けて立つ、琴美の姿しかなかった。
「琴美、みんなはどうしたの?」
後ろから声をかけると、琴美が驚いたように振り向いて、私に抱きついてきた。
「霞は無事だったんだね! 良かった!
でも……絵留たちが……」
絵留"たち"?
その言葉が引っかかり、慌てて琴美に聞く。
「詳しく教えて! 何があったの?」
よく見ると琴美は涙目で、震えていた。
震える光を湖に向け続けて、私に説明してくれた。
「ナニカが追いついてきて、絵留を……」
絵留が襲われたというところまでは、私の予想通りの展開だった。
しかし、その後を聞いて、私の心の喜びは消されてしまった。
絵留の手を引っ張って一緒に逃げていた真斗が、巻き添えをくってしまったというのだ。


