暗闇にひとりぼっちにされた私。

それでもちっとも怖くなかった。

十数メートル先の騒がしい声に、何かを期待して、口元がニヤけてしまうのを止められない。


きっと絵留がナニカに襲われたんだ。

さっきの悲鳴はそれに違いない。

嬉しいけれど、ちょっと残念。

恐怖に狂う絵留の顔を、近くで見たかったのにな……。


ニヤニヤしながら私はゆっくりと立ち上がった。

さっき、転んだ時に擦りむいてしまった両膝が、ズキズキと痛み出す。

すると、心にこんな思いが湧き上がった。


あれ……私、何かマズイことをしているのかな……。


膝の痛みを自覚したおかげなのか、楽しさしか感じなかった壊れた心が、一瞬もとに戻りかける。


でも、それはすぐに黒い色をした喜びに覆われて、消されてしまった。


邪魔者の絵留が消えた。

ああ、嬉しいな。
早くこの目で確かめにイカナクチャ。