そっか。琴美は梨沙がリードして、絵留は真斗に引っ張られ、敬太は私を助けるために戻ってきてくれたんだ。
これって、絵留より私のことを大事に思ってくれていると判断してもいいのかな?
そうでなかったとしても、もうすぐ絵留は殺されてしまうから、どうでもいいけどね。フフッ。
ブクブクッボコボコッという音が、ずっと後ろに付いてきている。
足もとの悪い中で走るのは難しく、時々転びそうになるのでスピードが出せない。
一方、這うように進むナニカには、足もとの悪さなんて関係ないのかもしれない。
振り返っても、後ろは闇。
暗くてその姿は見えないが、徐々に聞こえている音が大きくなっているから、私よりも移動スピードは早いみたいだ。
「霞、もっと速く走れっ!」
敬太がそう言って、私にゲキを飛ばす。
大丈夫なのに。
ナニカに追いつかれても、ターゲットは私でも敬太でもないから、平気なのに……。
そう心で呟きながら、敬太に引っ張られて走り続けた。


