走って逃げてくる5人は、すぐに、私に追いついた。
「霞も逃げて!」
梨沙が震える琴美を引っ張るようにして走りながら、私の横を通り過ぎる。
「霞、なに突っ立ってんだ!走れ!」
敬太も絵留を支えて走りながら、私の横を通り過ぎた。
それでも私は動かない。
ナニカはすぐそこまで来ているけど、逃げようと思わない。
平気だよって、みんなにも言ってあげた方がいいのかな?
逃げなきゃいけないのは、絵留だけだよって。
「ウフッ、フフフッ……」
絵留がナニカに捕まって殺される姿を想像したら、口から笑いがこぼれ落ちた。
すると、「霞、大丈夫か⁉︎ 一緒に走るぞ!」と敬太の声がして、後ろから腕を引っ張られた。
力強く引っ張る敬太に、走らないわけにはいかなくなる。
敬太の左手には、さっきまで、梨沙が持っていた懐中電灯が握られていた。
「絵留は?」そう聞かなくても、少し前の方に真斗に引っ張られて逃げる、絵留の後ろ姿が見えた。


