「絵留っ! この、卑怯者が‼︎」
梨沙が声を荒げて、一番先に駆け出した。
その声にハッとした琴美と真斗も、慌てて梨沙の後を追いかける。
敬太は絵留の両腕を掴んで首から下ろしたところで梨沙たちに囲まれ、困ったような顔をしている。
「どういうことなのよ!」
「梨沙に関係ないでしょ?
私、敬太くんと付き合うことになったから」
「は? 絵留、待てよ。
そんな話、してねーだろ」
「私のこと、イジメから守ってくれるって言ったじゃない」
「俺は何とかしてやるって言っただけで、付き合うなんて言ってな……」
「そんなのヒドイ!
キスまでしておいて私のこと拒否するなんて。
ファーストキスだったんだから、責任とってよ!」
勝手なことを言い出す絵留と、それを否定する敬太。
それに被せるように、梨沙と琴美が攻撃的に絵留を非難して、真斗はみんなを落ち着かせようと必死だ。


