懐中電灯のおかげで少しは辺りが見えやすくなったとは言え、22時半を過ぎたこの辺りは、かなりの暗さ。
空には雲が流れてきたようで、はかない月の光さえ隠されてしまった。
足もとは変わらず小石がゴロゴロして、気をつけていないと転んでしまいそう。
そんな神経を使う状況で、あちこちふたりを探して回るのは、かなり疲れる作業だった。
「いないね」
「うん」
「どこ行ったんだろうね」
「うん」
「疲れたね」
「うん……」
キャンプ場を出た時は『絶対に絵留を見つけてやる!』と勢い込んだけれど、それから20分も経つと、全員の口数が少なくなり、元気がなくなってきた。
付いて来てくれたみんなに気づかれないように私が小さなため息をついた時、真斗が「もうすぐ石塔を作った場所に出るよ」と言った。


