心配が大きくなって、クラスの女子がこんなことを言い出した。
「ふたりとも充電切れなんじゃないかな?
ライトが点かなくなって、真っ暗な中で歩けなくなっているのかも……」
それはヤバイとみんなが騒ぎ出す。
早く探しにいかないと、という話になった時に、琴美がみんなを引き止めた。
「待って! 違うの!」
クラスメイト達の視線が、琴美に集中する。
「違うって、なにが?」
渡辺くんに問われると、琴美は視線をさまよわせて困っていた。
でも、すぐに観念したように話し出す。
「ごめんなさい……実は……」
琴美は絵留がクジ引きでズルをしたことを、ボソボソと説明している。
敬太の名前が書かれた紙はずっと絵留の手の中にあって、みんながクジを引き終えてから帽子の中にその紙を戻したらしい。
それについて絵留に協力と口止めを求められていたことを琴美は白状して、みんなに謝っていた。
「本当にごめんなさい。
絵留がどうしても敬太とペアになりたいって言って……。
ふたりきりでゆっくり話したいから遅れると思うって言ってたし、たぶんどこかに座って話し込んでいるじゃないかと思うんだけど……」


