怒りと焦りで、つい真斗に向けて声を荒げてしまった。
「そんなの嘘だから! 私はイジメなんてしてないよ!
むしろ、絵留の方が色々と嫌がらせしてきて、困ってるのは私なのに!」
あまりの私の勢いに、真斗は足を半歩後ろに引いた。
「落ち着けよ」と言ってから、説明を付け足した。
「霞はそんなことしないと俺は思っているよ。敬太も、霞と絵留の間に誤解や行き違いがあると思うって言ってた。
敬太は後で霞にも話を聞くと言ってたから、大丈夫。慌てなくていいから」
絵留の言葉だけで、イジメの事実が肯定されるわけじゃない。
私にも弁解のチャンスが与えられるから大丈夫だと、真斗は言った。
でも、そのフォローの言葉でますます、私の心の中は荒れ狂う。
『私と絵留の間に誤解や行き違いがあると思う』って……敬太は絵留の言葉を嘘だとは思っていないってことじゃない。
絵留は嘘つきなのに!
私を陥れようとして、嘘のイジメ話をでっち上げたに決まってるのに!


