絵留が泣いていた?
え……どういうこと……?
敬太を手に入れようとして告白した結果、フラれたのであれば、ザマーミロと思うだけ。
でも、計算高い絵留が簡単に告白なんてしないと思うし、違う気がする。
なんだろう……嫌な予感がして、胸がザワザワする。
絵留は何を企んでいるの?
その涙は、本物? それとも、偽物?
ひとり混乱している私の手を引っ張り、真斗は石塔作りに夢中なふたりから少し離れた場所に移動した。
「敬太に電話してみる」
そう言って、真斗はスマホを耳にあてた。
ドキドキハラハラしながら、その様子を見守る私。
電話はすぐに繋がり、真斗は敬太と話し出した。
「どこにいる?ーーうん、うんーー」
真斗の言葉は少なくて、敬太が主に説明しているみたい。
敬太の声が聞こえない私には、どんな話をしているのか分からず、やきもきしてしまう。
「そっかーーうん、うんーーえ⁉︎
それはないと、俺は思うけど……」
真斗が驚きの声を上げた後、なぜかチラリと私を見た。
目が合うと、慌てて逸らしている。
何かあったのかな?
気になるから、できれば私に説明しながら通話してほしいと思ってしまう。
ところが真斗は、その後「分かった」とひと言だけ言って、電話を切ってしまった。


