すぐそばまで行ってようやく、お互いの顔が確認できた。
私のひとつ前の4番目にスタートした、別のペアだった。
ふたりは私の腰くらいの高さの石塔を作っていて、「デカすぎでウケる」「もっと積み上げようぜ!」と、楽しそう。
敬太と絵留も近辺で石を積んでいるかもしれないと思って辺りを見回してみたけれど、他にライトは見えないし、話し声も聞こえなかった。
「敬太と絵留、見なかった?」
石積みに夢中なふたりに聞いてみる。
すると、こんな説明をされてしまった。
「うちら、絵留ちゃんたち抜かしたよ。ひとつ目のチェックポイントの所で。
一緒に行こうって言ったら、先に行っててって言われた」
「なんかあいつら、変だったよなー。
絵留、泣いてなかった?」
「え、うそ?」
「俺はそう思ったけど違うかな。
わかんね。訳ありって感じだったから、構わず先に来たー」


