ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜




絵留はきっと敬太に甘えたり、手を繋ごうとしたり、距離を縮めようと企むだろう。


それが目に入ってしまったら、私は怒りを感じずにはいられない。


その結果、ナニカを呼び出してしまったら……。


やっぱり追いつかない方がいいんじゃないかな。

絵留と敬太の様子はとても気になるけれど、恐ろしいことが起きたら大変だから。



肝試しが始まった。

スマホライトの明かりを頼りに、1組目がキャンプ場から出て行った。


梨沙は『絶対に絵留の邪魔をしてやるから』という思いを私に目で合図して、テニス部の男子と一緒にスタートした。


その2分後に、絵留と敬太が出発する。


敬太は楽しそう。

「すげーワクワクする!」と笑顔を見せて、「じゃ、行ってくるな」とみんなに手を振った。


絵留は一見優しそうに見える笑顔で、敬太の隣に寄り添って歩き出す。


私はふたりの姿に湧き上がってきてしまう、嫉妬の感情と戦っていた。