私のために怒ってくれる梨沙は、私にも『もっと怒りなよ』と言うけれど、ダメなんだよ……。
私は絵留のことを、怒ってはいけない。
憎しみのあまりに、怖いことを考えてしまえば……ナニカが出てきてしまうから。
大きく深呼吸して、怒りを抑え込み、なんとか落ち着こうとがんばっていた。
すると、敬太の大きな声が聞こえてきた。
「おーい、霞と梨沙、どこ行った?
肝試し、始めるぞー!」
急いでみんなの所に戻る。
梨沙と話し込んでいる間に、スタートの順番が決められていた。
男女ペアの14組が2分差でスタートし、梨沙とテニス部の男子のペアは、2番目のスタート。
絵留と敬太のペアが3番目で、私と真斗は5番目。
梨沙がニヤリと笑い、私に耳打ちした。
「絵留は私の次だって。ラッキー。なるべくゆっくり進んで、追いついてきた絵留と敬太の仲を邪魔してあげる。
霞は絵留のふたつ後か……。がんばれば追いつけるかもよ?」
梨沙の言うように、追いついて絵留の邪魔をしたい気持ちはある。
でも、それを恐れる気持ちも……。


