ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜




今、私はよくないことを考えていた。


絵留への憎しみから、恐ろしいことを考える寸前だった。


それに呼応するかのように聞こえてきたのが、ナニカの音。


やっぱりナニカは、私の気持ちに反応して出てくるのだろうか……?


私がコイツを消してほしいと願ったら、ナニカが私の代わりにその人を殺してしまうのだろうか……?


じゃあ、桜井先生と飯塚先輩を殺したのは……私なの?


心の中でずっと否定し続けてきた仮定が、今のできごとで確かな可能性のように思えてしまい、自分への恐怖に体が震えてきた。


「霞、どうしたのよ。
まさか泣いてるの?」


そうじゃないけど、体を震わせてうつむく私の姿は、梨沙の目に泣いているように映ったみたい。


梨沙が私の頭を撫でて慰めながら、絵留に対しての怒りを口にする。


「もう、絵留は絶対に許さない! あんなヤツ大嫌い!

霞は泣くことないよ。もっと怒りなよ。
後でみんなのいない所で、一緒に絵留をシメテやろ?」