ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜



「霞、ちょっと来て!」


泣き出しそうになっている私の腕を引っ張り、皆の輪から少し離れたところに引っ張っていくのは、梨沙。


テントの陰まで来て、梨沙は私にこう言った。


「今のくじ、怪しくない?」


「え?」


「くじは絵留が作ったんだよ。
敬太の相手が絵留になるような細工がしてあったんじゃないかな?」


「あ……そうかも」


どんな細工がしてあったのか分からないけれど、よく考えたら、絵留にとって都合のよいこの結果は出来すぎている。


梨沙に指摘されてそのことに気づき、ショックは怒りに変わった。


卑怯者……。

敬太のことを好きでもないくせに、私に嫌がらせするためだけに、ここまでするなんて。


怒りと悔しさで、強く唇を噛みしめる私。

梨沙は鼻息荒く、「絵留に抗議してくる! インチキだって言ってくる!」と、私に背を向けテントの陰から出て行こうとしていた。