ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜




呼ばれた真斗はすぐに私の隣に来て、苦笑いしている。


「俺でゴメン」


「な、なんで?
くじを引いたのは私だし、それに私は真斗で嬉しいよ?」


もしかして、敬太じゃなくてガッカリしていたのが顔に出ちゃったのかな……。


謝らせてしまったことを申し訳なく思い、慌てて笑顔を作って言い訳していた。


真斗と話している最中に、絵留は残りの女子の間を回って歩き、くじを引いていないのは残りひとりとなった。


それは、絵留。

自分がくじ係を買って出たから、私は最後でいいよと、絵留は言っていた。


絵留は最後に残っていたくじを、自分で開く。


私は絵留じゃなくて、敬太を目で探していた。

敬太の名前が書かれたくじを引いた女子は、いったい誰だろう?

そう思い、キョロキョロしていた。


そのとき、敬太の名前を呼ぶ、嬉しそうな絵留の声を聞いてしまった。


「あ、私、敬太くんとだ!」


そんな……。

敬太の相手が、よりによって絵留だなんて……。


私の引いたくじが敬太じゃなかったことよりも、今、遥かにショックを受けていた。