ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜




ナニカに襲われる条件……。

それは、『ナニカなんているはずない!』などと、存在を否定するような言葉を口にすること。


それからもう一つ。

私が……『こんな奴は、ナニカに襲われて消えちゃえばいいのに』と願うこと……。



途端に心がザワザワと落ち着かなくなる。

『俺たちはナニカに襲われるはずない』と言った男子は、うちのクラスの全員がナニカの存在を信じていると思っている。


それは違う。
絵留と琴美は信じてないよ。


ナニカの話題でクラスが盛り上がる時、仲間外れにされたくない2人は『いるわけない』とは言わないけれど、私の前ではハッキリ言っていた。


ナニカの存在を信じない2人。

それでもし、私が『消えちゃえ』なんて思ったら……。


怖いことを考えてしまい、肌がゾクリと粟立った。


その恐怖から逃れるために、慌てて自分の心に言い訳をする。


ナニカに襲われる条件なんて、不確かなこと。

桜井先生と飯塚先輩の事件の共通点を考えて、敬太がそうなんじゃないかって、勝手に言いだしたこと。


私が『消えちゃえ』と願うことについては、私の中だけの推測で、あやふやな上に、信じたくないことでもある。