ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜




こんなに暗い中で、肝試し?
それは、ちょっと……。


怖がっているのは私だけじゃない。

女子の間に「どうする?」「えーやだー」という否定的な会話がヒソヒソ飛び交っていた。


一方、男子のほぼ全員が肝試しに乗り気で、コースやルールなどを勝手に相談し始める。


決まった内容は、こんな感じ。

スマホライトを頼りにキャンプ場を抜けて、少し離れた場所にあるレストハウスとボート乗り場を回る。

行った証拠に、写メで建物を撮影してくる。


それから、三日月形のこの湖の先端部分の湖畔で、ゴロゴロ転がっている石を使って塔を作り、それも写メに撮って戻ってくる。


そんなルールが、男子のみの意見で決められてしまった。


「面白そうじゃん!」とはしゃぐ男子達と、「本当にやるの?」と怯える私達。


一人の女子が「ナニカが出てきたらどうするのよ……」と、怖いことを言い出した。


その言葉で騒いでいた男子達も、一瞬静まる。


みんなの中にはまだしっかりとナニカの恐怖が刻まれているので、その言葉は肝試しを止めさせるのに効果てきめんのように思えた。


すると敬太がみんなの真ん中に進み出て、自信満々に大きな声で言った。


「出てきたらチャンスじゃん。
とっ捕まえてやる!」