ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜




絵留は言いたいことを言うと満足そうな笑顔を浮かべ、敬太たちの方へと駆けて行った。


梨沙が怒りながら、「絵留なんて大して可愛くないし、霞が気にすることないからね!」と励ましてくれるけれど、私の心の中は不安でいっぱい。


『このキャンプで、私、敬太くんのこと落とすから……』


どうしよう……。

絵留が本気を出したら、私は敵わない気がする。

敬太を絵留に取られちゃうよ……。



それから、2時間後。

部活や塾で遅れたクラスメイト達も全員揃い、一気に賑やかさが増した。


心配していた飯ごうのご飯も上手く炊き上がり、大鍋2つで作ったカレーも美味しそう。


紙皿にカレーライスを盛り付けて、紙コップのお茶やジュースで乾杯した。


「めっちゃ、ウメーッ!」

「キャンプのカレーって、家で食べるのより数段美味しく感じるよね」


ワイワイと盛り上がる一団の中で、私一人だけ浮かない顔をしていた。


心に引っかかっているのはもちろん、敬太を落すと宣戦布告した絵留の言葉。