ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜




梨沙はともかく、琴美までもが私をフォローするので、絵留はあからさまに不機嫌そうな顔をしていた。


私はまだショックから抜け出せず、失恋した気持ちで立ち尽くすだけ。


気温は30度超えの暑さなのに、私たち4人の間には冷たい空気が流れていた。


そこに、敬太と真斗がカレー用の大鍋を2つ持ってやってきた。



「野菜、切り終わった?」


「この鍋に入れて持っていくから……あれ?
どうした? 何かあったのか?」



今にも泣きそうな顔の私と、気まずい表情の琴美と梨沙。

絵留はムスッとしていた顔を瞬時に柔らかい笑顔に戻し、敬太の側に寄る。



「何でもないの。野菜いっぱいで、疲れたねーって、話してたところ。

でも、私は料理するのが好きだから、このくらいへっちゃらだけどね、ふふっ」


「そっか。サンキューな」


「野菜、お鍋に入れるね。
きゃ、重くて持ち上がらないよ〜」