ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜




ハッとして、私の手から切ったジャガイモがポトリと落ちた。


一番先頭を歩いていた敬太の顔が迷惑そうだったのかは分からないけれど、低く怒ったような声でそう言ったのは間違いない。


ふざけたこと言ってんなよって……そういう意味なの?


ただ、恋愛話でからかわれるのが嫌なだけかと思っていたんだけど、私とカレカノになるのが嫌だったのかな……。


敬太と少しずつ距離を縮めて、今では仲良しだと思っていたのに、その自信がバラバラとはがれ落ちていく思いがした。


私の想いは、敬太にとって迷惑なの?

どんなに頑張っても、この恋は実らないの?


ショックで青ざめる私を、絵留が勝ち誇ったような顔で見ている。


琴美がオロオロしながら、絵留に言う。


「そんなこと言ったら、霞が傷つくからやめなよ。
それに、敬太は迷惑だなんて思っていないよ、きっと」


梨沙はムッとした顔をして、絵留をきつく叱ってくれる。


「それって、八つ当たりじゃん。
霞の話でみんなが盛り上がるのが、絵留は面白くないだけでしょ?

最近の絵留は、自分勝手すぎる。そういう性格直さないと、その内ひとりぼっちになるからね」