ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜




敬太が優しいのは誰に対してもだから、絵留を気遣ったとしても、それは普通のこと。


それに、絵留と私じゃ、私の方が敬太と仲がいいと思うし……。



絵留の作戦に引っかかるものかと、平静を装う。

ジャガイモの最後の1個を切り終えて、「やっと終わったね!」と梨沙に笑顔を向けた。


すると絵留が、今度は違う角度から痛い所を突いてきた。



「無理しちゃって。
本当はショックなんでしょ?」


「は? 何が?」


「まさか、気づいてないの?
霞は、敬太くんにフラれたようなものじゃない」


「え?」


絵留の言っている意味が分からなかった。

敬太にフラれるも何も、私はまだ告白してないのに。


何言ってるの?と言いたげに、眉を寄せて正面の絵留を見据えると、絵留はクスリと笑った。


「本当に気づいてないんだー。可哀想だから教えてあげるよ。

バスを降りてキャンプ場まで歩いていた時に、みんなにからかわれたよね?

付き合っちゃえよって言われたよね?」


「う、うん」


「それに対して、敬太くんが言ったじゃない。
ふざけたこと言ってんなよって。

すごく迷惑そうな顔をしていたよねー」