ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜




でも、誰も突っ込んで聞いてきたりしない。

怒鳴りあっているわけじゃないからそっとしておこう、巻き込まれたくないし……そんな思惑が見え隠れしている。


30分かけて、カットされた野菜が大きなザルに山盛りになった。


残りはジャガイモ3個と、タマネギ2個、ニンジンが3本のみ。

あと少しで終わりそう。


包丁を使うことに慣れていないので、右手がかなり疲れていた。

それを話すと、梨沙は「私も〜」と言って、プルプル震えている右手を見せてくるから、笑ってしまった。


こういうのって、楽しいな。

最近はナニカのことで学校全体が慌ただしかったし、実際に目撃してしまった私は、不安や恐怖に襲われた。


梨沙もバレー部のことでかなりショックを受けていた。


こんな風に他愛ないおしゃべりで笑い合うのは、随分と久しぶりな気がする。


今だけは、ナニカのことを忘れたい。

折角のキャンプだから、思いっきり楽しんでもいいよね?

ただ、絵留の動きだけが、心配ではあるけれど……。