ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜




「いいの?」

真斗に声を掛けられて、ハッと我に返った。


「え? いいのって、何が?」

「あ、いや……」


真斗は多分、敬太と絵留を放っておいていいのかと、言いたいのだろう。


と言うことは、私が敬太を好きなことに、気づいているということで……。


恥ずかしくなって、顔を赤くしてテント張りの作業に戻る。


真斗は気を遣ってか、それ以上は突っ込まずにいてくれた。



約1時間かけて、テント6つは何とか完成した。

完成を喜んではしゃぐクラスメイト達の中で、私はひとり、ホッと息を吐き出していた。


絵留の様子が気になって、どうしてもチラチラ見てしまったんだけど、絵留は敬太の隣をピッタリキープして、『難しいよ〜』『わぁ、敬太くんすごーい!』と、上手に甘えて頼っていた。


そんなハラハラした状況がやっと終わり、続いて取り掛かったのは、カレーライス作り。


まだ15時半で夕食には大分早いが、慣れない火起こしも、大量の野菜の下処理にも時間が掛かりそうな気がして、今からやってしまおうと言う話になった。