絵留に促されて、敬太は私に背を向ける。
絵留は絡ませた腕を解こうとはせず、まるで彼女みたいにピッタリと寄り添いながら、2つ隣の張りかけのテントへと、敬太を連れ去った。
どういうことだろう……。
絵留は、敬太のことを好きじゃないのに……。
前は絵留も敬太とそれなりに仲が良かったと思うけど、敬太がナニカの話に夢中になってからは距離を置いていたはず。
実際に、『最近の敬太くんはカッコ良くない。ナニカ、ナニカって、呆れちゃう』そんな言葉も、絵留から聞いた。
それなのに、どうして……?
私はポカンと口を開けて立ち尽くしたまま、絵留と敬太の後ろ姿を目で追っていた。
でも、すぐに心の中にモヤモヤとした不安が広がり始めた。
もしかして……絵留は、私の恋を邪魔したいのかな。
私がムカつくから、敬太を自分のものにして、私に悔しがらせようとしているのかな……。
そんなの酷いよ、絵留。
私は本気で敬太のことが好きなんだよ。
お願いだから、敬太を取らないで……。


