ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜




絆創膏をくれた女子にお礼を言って、テントを張る作業に戻ろうとしたら、敬太に止められてしまった。



「霞は、休んでろよ」


「え? 大丈夫だよ。
ほら、手もちゃんと動くし痛くないよ」


「ダメだ、休んでろ。
また怪我するかもしんねーだろ」


「えー……私はそんなに鈍臭くないし、同じミスはしないよ」



『休んでろ』『大丈夫だから』と平行線の言い合いを繰り広げる私たちの横では、絆創膏をくれた女子と真斗が、なぜか目を見合わせてニヤニヤしている。


するとそこに、絵留がやってきた。



「敬太くん、早く戻ってきてよ。
私たちだけじゃテントは張れないよ」


「あ、わりっ。今行くわ」



敬太の右腕に、絵留は自分の腕を絡ませる。


「え?」と驚きの声を上げて絵留の顔を見た敬太に、絵留はニッコリと愛らしい笑みを向けていた。



「敬太くん、行こ?」


「あ、ああ……」