ナニカ 〜生んで、逃げて、殺される物語〜




「痛っ!」


見ると、右の手の甲には、2センチほどの擦り傷ができて、血がうっすらとにじんでいる。


慌てて真斗が駆け寄ってきた。



「霞、大丈夫⁉︎」


「うん、ちょっと掠っただけ」


「ごめん。俺のやり方が下手だったから……」


「そんなことないよ!
私がちゃんと押さえていなかったのが悪かったんだし、真斗のせいじゃないよ」



ふたりでそんなやり取りをしていると、敬太がこっちに走ってきた。



「どうした? 怪我したのか?」


「うん、ヘマしちゃって……でも大丈夫」


「血が出てんじゃん。
おーい、誰か、絆創膏持ってる奴いねー?」



テントを張るのに悪戦苦闘して、私の怪我に気づいていなかった他のクラスメイト達が、一斉にこっちを見た。


「持ってるよ!」と言った女子が、鞄から絆創膏を取り出して、私の所に来てくれた。


傷は浅く、出血もほんの少し。

絆創膏を貼ってしまえば痛みも感じなくて、何の問題もない。