恋の種をひとつぶ



ーー先週。


保健室で手当てをしてもらった一件以来、わたしと大熊くんは、あいさつを交わすようになっていた。


すこし前までだったら、ありえないことだと思う。大熊くんに、おはようって言うなんて。


でも今は、言えるんだ。

言いたいなって思うんだ。


それはきっと、わたしのなかの大熊くんの印象が、がらりとかわったからだ。



『……どう声かけていいのか、わかんねーし』



大熊くんが照れくさそうにほおを染めた、あの瞬間。


なんだろう。なんていうか。

かわいい……って、思ってしまった。


こわいじゃなくて、かわいい。


男の子に、そんな感情をいだいたのは、はじめてだった。



こわいひと、というフィルターをとっぱらって大熊くんのことを見てみれば、たった数日で、いろんなことがわかってきた。