密室の恋人

「お、思いますが。
 私程度で、この豪邸の対価になると思えませんが」
と言ってみたが、

「そりゃ、俺が決めることだろう」
と言う。

 な、なんとか此処から脱出しなければ。

 顔は動かさず、目だけで辺りを窺う。

 さっきまで頼りになると思っていた蒼汰はもう味方ではない。

 一、あっ! と叫んで、その隙に逃げる。

 二、その辺にある花瓶で殴って逃げる。

 三、お腹に一撃加えて、気絶させて、その隙に逃げる。

「どの案も却下だ」

「ええっ!?
 私、今、口に出して言いました!?」

「お前の考えていることなぞ、お見通しだ」
と言うと、蒼汰は、ひょいと物のように、凛子を肩に担いだ。