密室の恋人

「いえ、でもちょっと。
 蒼汰さんがそうやって、怒ってくれるのがちょっと嬉しくて」
と言うと、蒼汰は赤くなり、

「……莫迦か」
と言う。

 蒼汰が嫉妬してくれるのが、なんだか嬉しかった。

「ともかく、今日は疲れた。
 精神的に」

「す、すみません」

「もう風呂入って寝よう」
と言われて、あっ、と思った。

「手錠とスタンガン、上村さんが持ってます」

「お前、持ってったのか」
「護身用に」

「それを取り上げられたときのことを考えないのか」

「上村さんにもそう言われました。
 そして、取り上げられました」

「……やっぱ、あの人、いい人かもな」

 それで無事に帰してくれたのか、と言う。

「でも、大丈夫ですよ、蒼汰さんっ。
 縄がありますっ」

「……縄?」

「資源ゴミ縛る縄ですが」

「なんとなく方向性がおかしくなってないか?」
と言われたが、とりあえず、蒼汰は弟の部屋のベッドに用心のために、縄で縛りつけておくことになった。