密室の恋人

 千尋の言葉を思い出す。

『ほんと……いつまでも、しつこく、……気になるのよ』

 思わず、箸が止まりそうになったとき、蒼汰が言った。

「なんだか俺は、あのエレベーターの霊より、上村さんの方が厄介な気がしてきてるよ」

 そういえば、あのエレベーターの人が言っていた。

 本気で自分と蒼汰のことを調べてみたのかと。

 確かに。
 あの霊の言葉を本気にしているわけではないが、恐ろしくて、なかなか調べられない。

 霊のことを知ろうと思ったら、或る程度、霊が見えるらしい弥に協力をあおぐのが近道なのだろうが。

 ちら、と上目遣いに蒼汰を見ると、
「……なにか悪いこと企んでるだろ」
と言ってくる。

 うう。
 なにもかもお見通しのようだ。

「ひとりで動くなよ」

「はい」
と答えたが、蒼汰が誰かを殺したと言う話を調べるのに、蒼汰を連れてはいけないな、と思っていた。

 かと言って、迂闊な人に力添えを頼むわけにもいかない。