密室の恋人

「そ……」

 反論しかけて、言葉を止めた。

 罪の意識から、もう逃げられない。

 なにかそのフレーズが気になったからだ。

「どうかした?」
と鋭い弥が訊いてくる。

「わかりました。
 全部しゃべりますから。

 誰にも言わないでください。

 エスカレーターの人から聞いたその話、まだ、蒼汰さんにも言っていないので。

 それから、上村さんもあのエレベーターの中で見たり聞いたりしたこととか、知ってること。

 全部話してくださいよ」
と言うと、

「わかったわかった」
と笑う。

「あのー、なにか口調が軽すぎて信用できないんですけど」
と呟くと、

「言うねえ、君も」
と言われる。

「まあ、今現在はたいしたこと知らないけど。
 調べてあげるよ」
と弥は微笑む。

 確かに、彼なら、男女問わず、人当たりがいいので、いろんなところから情報が入りそうだ。

 この柔和な笑顔と口調につられて、みんな、つるつるしゃべりそうだし。

 ……ちょっと前の自分みたいに。