密室の恋人

 蒼汰の腕の中は落ち着いた。

 蒼汰の手が反射でか、凛子の背中に触れ、抱き寄せる。

 そのうち、蒼汰の体温が移ったのか、身体が温まってきて、朝までぐっすり眠れた。

 あのときのことは蒼汰には言ってはいないが、感謝はしている。

 だから、今日は、眠れない蒼汰の話に付き合ってやろうと思ったのだ。

 しかし、嵐とか物理的なものにはあまり反応しないようなのに。

 こんな風に、眠れなくなったり、目が覚めたりするなんて、なにか精神的なものが要因だろうかと思った。

 少し他愛もない話をしたあとで、蒼汰が言った。

『やっぱり、離れて眠るのは嫌だな』

「え――」

『籍だけでも入れようか。
 式やるとなると、手間取るから』

 だから、どうして、貴方と私が結婚する話が勝手に進行してるんですか、と思った。

『お前と居ると、不思議とよく眠れるんだ』

「いや、あの、ただゆっくり寝たいがために結婚するのってどうでしょうね」
と溜息つきながらも、

「私も……
 蒼汰さんと居るとよく眠れるんですが」
と白状する。

『じゃあ、問題ないじゃないか』

 いや、いろいろとある。

 本当にこの人、ざっくりと気にしなさすぎだ。