密室の恋人

「俺がついて来てやってよかった」
と恩着せがましく言うので、

「ちょっと待ってくださいよ」
と言った。

「その話が本当なら、貴方がついて来ない方がよかったんじゃないですか?」

 余計、睨まれることになった気がするのだが、と思ったのだが、

「なに言ってんだ。
 お前だけが帰ってきて、あの男と揉めてみろ。

 逆上して襲われたらどうするんだ」
と言われる。

「いや、そんな物騒な人は貴方くらいですよ。
 ……ん?」

 そうか。
 そういえば、蒼汰は結局、なにもしないままだったんだな、と気がついた。

 いや、なにもじゃないが。

 蒼汰は勝手にテーブルに弁当を広げながら、
「俺のありがたみがわかったか」
と言い、

「いいから食べよう。
 冷めるじゃないか」
と言う。

 意外と美味しい、と言いながら蒼汰は食べている。

「ちょっとあとで、胸焼けしそうだが」
と言うので、

「そんなガッツリなの選ぶからですよ」
と笑った。