密室の恋人

「だって、明日、月曜じゃないですか」

 そう自分で言って、どきりとした。

 『彼』の言葉を思い出したからだ。

『凛子ちゃん、また、エレベーターで。
 月曜には会社に来てね』

「朝、船で帰るという手もあるぞ」
と蒼汰が言い、は? と振り向く。

「船で行ったら、通勤ラッシュもないが」

「そういえば、渋滞がないからって、船で通ってる人が居るって聞いたことありますよ。

 でも、うちの会社の近くまで船が入れるような川とかないですよ〜」
と言うと、

「港からはさすがに、車だろう」
と言われる。

「それから、掃除はしなくていいぞ」

「え?」

「後で誰かが来るから。
 使ったあとは、一斉清掃することになってるんでいい」

「そんな、そういうわけにはいきませんよ。

 だって、自分たちで使ったんですから。

 ホテルだって、お掃除の人、入るけど、一通りは綺麗にして出るでしょう?」
と言うと、蒼汰は笑う。

「お前は本当にいい意味で、普通のお嬢さんだな」
と言う。